産地だより 2020年12月

チームやらまいか静岡 キャベツ部会

2020年12月
静岡県湖西市 チームやらまいか静岡 キャベツ部会(キャベツ)
代表生産者 佐原 敏樹さん

今回の産地だよりは、静岡県湖西市でキャベツを栽培している協力農家さんの佐原 敏樹さんをレポートします。

湖西市について

湖西市は静岡県の最西端にあり、愛知県との境にあります。ハイキングコースとして親しまれている湖西連峰、水平線が広がる太平洋、緩やかな砂浜が続く浜名湖といった、自然に囲まれた温暖な気候の美しいまちです。車で浜松駅から南へ向かい、国道一号線に乗り、およそ40分、一直先に西に向かうと湖西市に到着します。

道の駅潮見坂

道の駅潮見坂

潮見坂から見える水平線

潮見坂から見える水平線

ご当地の「食」をいただきます

キャベツ生産者の佐原さんとの待ち合わせは、湖西市白須賀にある「喜楽食堂」さんにしました。店内に入ると、テーブル席と座敷が広がり、お客さまでにぎわっていました。アジフライ、カツオのたたき、生しらすなどの海鮮を使った料理や生姜焼きや鳥の天ぷらなどの肉料理と様々なメニューがそろっているお食事処です。私たちは、日替わりメニューを注文し、豚しゃぶ、あさりの味噌汁、ブロッコリーのサラダをいただきました。どれも素材の味がしっかり出ていて、特にブロッコリーは新鮮で、野菜の甘味も感じ、おいしくいただくことがきました。どこかなつかしい、家庭の味を感じるお店でした。
読者のみなさまもお近くにお越しの際はぜひ「喜楽食堂」に立ち寄られてはいかがでしょうか?

喜楽食堂

喜楽食堂

日替わりメニュー

日替わりメニュー

佐原さんの圃場へ到着

佐原さんの圃場へ到着すると、広大な大地と緑いっぱいの畑の作物に目を奪われました。11月中旬は、キャベツ、ダイコン、ブロッコリー、ニンジンなど、様々な作物が畑で育てられていました。キャベツの収穫時期は11中旬からとのことで、私が伺ったときがまさに収穫時期でした。

圃場全体の風景

圃場全体の風景

キャベツの圃場

キャベツの圃場

野菜の味に感動!

佐原さんは、キャベツ、ダイコン、ニンジンを一口大の大きさに切り分けてくださり、試食させてくださいました。まずは、葉がギュッと引き締まったキャベツをひとかじり。「キャベツってこんなに甘いの!?」と思うくらい甘味を感じるキャベツでした。同時に、シャキッと新鮮な歯ごたえとみずみずしさやキャベツのうま味も感じ、キャベツのそのおいしさにただただ感動でした。その後、ダイコン、ニンジンも試食させていただきましたが、それぞれの野菜がフルーツのように甘く、まったく苦みを感じず、「野菜のうま味を感じるというのはこういうことか」と驚きとともにはじめての体験でした。

キャベツをがぶり

キャベツをがぶり

みずみずしいダイコン

みずみずしいダイコン

キャベツ作りを始めるきっかけ

佐原さんに『キャベツ作りを始めるきっかけ』についてお話を伺いました。
佐原さんは、昔、知り合いのお子さんがアレルギー症状でお亡くなりになった経験があり、そのときに、子どもに安全でおいしいものを食べさせたいと思ったそうです。また、人間の生活の基本である「衣・食・住」のうち、「食」にも注目し、人間の体に合った野菜を作りたいと思ったのがキャベツ作りのきっかけとのことでした。「人間の体に合った野菜」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
「野菜は自身の体を生長させるのに窒素を必要としますが、特にコマツナ・レタス・キャベツなどの葉物野菜は窒素の吸収効率が良く、土壌中に過剰に肥料などで窒素分を与えてしまうと、収穫した作物に土壌から吸収された窒素分が使い切らずに葉に多く残ってしまいます。人間がその野菜を食べたときに窒素(硝酸態窒素)が人間に吸収されてしまうのです。」硝酸態窒素は人間の体内で反応を起こし、その後さまざまな病気を引き起こすとされているそうです。そのため、硝酸態窒素ができるだけ少ない状態の野菜を作ろうと決めたそうです。

畑の中のキャベツ

畑の中のキャベツ

栽培で注意していること

佐原さんに、その他に栽培で注意していることをお伺いしました。特に大切にしていることは、生育初期に健康な植物体を作ることと教えていただきました。まずは、植物の葉が3枚に展開した頃、植物にカルシウムを与えることで、しっかりと細胞膜を形成させ、根を生長させること。それにより病害虫に強い丈夫な体を作ることができるとのことです。そして、葉が5~6枚に展開した頃には、細胞分裂が活発になるため、エネルギーとなる糖を与え、細胞を作るのに欠かせないミネラル、ビタミンをしっかりと与えることで、病気にかかりにくい丈夫な芽を作ることが大切とのことです。佐原さん曰く、「植物も人間と一緒。小さいときに栄養をしっかりと与え、丈夫な体を作ることが大切なんです。」と。丈夫な植物体を作り、適切な窒素分で十分生長させ、収獲するという一貫してこだわった栽培技術を教えていただきました。

ダイコンの圃場

ダイコンの圃場

収穫前のダイコン

収穫前のダイコン

おいしいキャベツをつくるために

次に、『おいしいキャベツ作り』についてお話を聞いてみました。
キャベツを食べたときに、苦みやえぐみを感じたとき、おいしさが半減してしまいます。その原因となるのが、これも作物の体中に残った硝酸態窒素とのことで、施肥量(肥料の量)には注意しているそうです。また、キャベツの状態管理についてお伺いしたところ、キャベツの生育状況はキャベツの体に現れるとのことです。体内の窒素分が分解されているものは葉に弾力があり、窒素の量は葉の色にも影響し、窒素分の多い葉は緑色が濃くなるとのことで、これら、葉の弾力、色合い、葉の厚さを見て、作物の状態をつかんでいるとのことです。佐原さんの苦みのない、おいしいキャベツは、このようなコントロールをすることで作られているようです。

収穫前のキャベツ

収穫前のキャベツ

元気に育ったキャベツ

元気に育ったキャベツ

若手の生産者に対して、今後の目標

佐原さんには、安全で、おいしいキャベツ作りを、世の中に広めたいという思いがあります。そのために、自身の栽培方法を書いて、若手の生産者さんへお渡ししているそうです。佐原さん曰く、その通りに作れば8割方同じキャベツを作れるのだとか。しかし、問題となるのは土作りとのことです。微生物が住みやすい環境を作ること、たい肥をちゃんと分解させることが必要で、土壌の有機物がしっかり分解されずに植物の中に吸収されてしまうと植物の体内に残ってしまうため、苦みのあるキャベツになってしまうそうです。若手の生産者さんは、土づくりまでまだまだうまくできていないので、これからも教えていきたいという熱い思いも伺いました。
また、佐原さんは今後、「おいしく」、「安全な」野菜を作る生産拠点をいくつも作り、世の中に広めていきたいという目標を掲げておられます。人間が病気になりにくい、よい野菜を提供することで、皆さんの健康を守っていきたいと熱くその想いを語られていました。
熱い想いを伺え、取材した私は、それだけでありがたい気持ちでいっぱいになりました。

圃場と広大な空

圃場と広大な空

佐原さんからのメッセージ

佐原さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「子どもの舌は正直。野菜が嫌いな子は、“おいしい野菜”を食べているのかな?ぜひおいしい野菜を食べて、元気で健康な子に育って欲しいと思います。」
佐原さんの、食を通じて健康な体を作って欲しいという想い、そのために、“おいしい野菜”を作っていらっしゃるその姿を今回拝見し、またお話を伺い、とても感動をしました。
佐原さん、これからも安全で、おいしい野菜作りをよろしくお願いします。

佐原 敏樹さん

佐原 敏樹さん

Text by Akagawa