産地だより 2023年6月

静岡県菊川市 [野菜くらぶ 静岡収穫祭 特別レポート] 代表生産者 塚本 佳子さん

2023年6月
静岡県菊川市
[野菜くらぶ 静岡収穫祭 特別レポート]
代表生産者 塚本 佳子さん

今回の産地だよりは、トマト、レタス、キャベツやグリーンリーフなど、たくさんの野菜をモスバーガーのお店に出荷いただいている、野菜くらぶさんの静岡収穫祭の様子をレポートします。

収穫祭の開催

収穫祭は、コロナ禍以降、しばらく中止となっていましたが、5年ぶりの開催となります。野菜くらぶ、静岡支部長の塚本さんより、「今回の収穫祭では、実際に畑に入り、生産者と交流していただきます。収穫体験を通じて、自然の恵みを肌で感じられるイベントを用意させていただきました。ぜひ楽しんでください!」と、元気な開催の挨拶で収穫祭が始まりました。訪問する畑は、トマト、ズッキーニ、レタス、キャベツ、ブロッコリー、サニーレタスの6つの畑が予定されていました。レポートではモスバーガーで使用しているトマト、レタスの紹介、また、その他にズッキーニとブロッコリーを紹介します。

1.開催の挨拶

1.開催の挨拶

さっそく畑へ移動訪問

最初にトマトハウスへ伺いました。ハウスの特徴を伺うと、水と肥料を混ぜた養液を決めた時間に与える自動潅水システムを用いて、「隔離土耕」で栽培を行っているとのことです。「隔離土耕」とは大きなプランターのような仕組みで、土からくる病害虫を防げる他、土を使うので有機肥料を活用できる、土の栄養管理がしやすいなどの特徴があります。代表生産者の藪崎さん曰く、ハウス内の温度、養液を与える時間と量を制御して、安定して供給することを目的に、植物にとって、最も適した栽培環境を作れるかを常に研究しているとのことです。

2.トマトハウスの様子

2.トマトハウスの様子

3.収穫前のトマト

3.収穫前のトマト

続いて、レタスの畑へ到着しました。代表生産者の塚本さんよりレタスの収穫方法を教えていただき、収穫を実施。どのレタスもふっくらと大きく、根がしっかり土壌に張っていて引き抜くのに力がいりました。栽培の難しさを伺ったところ、「モスさんで使っているレタスは、葉が巻きすぎていない、7分、8分ぐらい葉が巻いたレタスを収穫するので、収穫時期を逃さないようにするのが難しいです。葉が巻いているレタスは、作るのは簡単だけど、7分、8分のレタスを狙うのは難しいんですよ。その分、レタスの苦みが少なく、葉が柔らかいものが取れるんです。おいしいレタスを使ってもらっていることにやりがいを感じます。」と教えていただきました。モスバーガーで使うレタスの収穫の難しさを聞き、おいしいレタスを作っていただいていることに、感謝の気持ちでいっぱいでした。

4.レタス畑

4.レタス畑

5.レタスの葉が巻いています

5.レタスの葉が巻いています

その次は、ズッキーニの畑へ到着しました。皆さんはズッキーニの苗を見たことがありますでしょうか?キュウリのように細長い実なので、ツルからぶら下がっているのかと、想像していました。目の前で初めて苗を見たら、予想とは違っていて驚きました。ズッキーニの苗は、背丈はそれほど高くなく、土からしっかりと横に葉を広げ、ずっしりとした風貌をしていました。実は、苗の中心の茎から太陽に向かって力強く生っています。しっかりした苗でしたが、意外にも実を繋いでいる茎の部分は柔らかく、はさみを入れるとさくっと切れ、簡単に実を収穫できました。

6.ズッキーニの苗

6.ズッキーニの苗

7.収穫ができました

7.収穫ができました

続いて、深川さんが栽培しているブロッコリー畑へお伺いしました。濃い緑色が一面に広がったブロッコリー畑へ到着。深川さんにブロッコリーについて、ご説明いただきました。まずは、実について。普段、私たちが食べているブロッコリーは、小さな花の蕾(つぼみ)の集まりを食べているとのこと。写真「10.ブロッコリーの蕾」のような、小さな花の蕾の集まりが、時間をかけて大きくなり、スーパーで見るような大きさになったら収穫をしているそうです。
また、栽培の難しさをお伺いしました。ブロッコリーは、病気が発生すると色が変わってしまうため、苗の様子を見て、異変が起きていないかしっかりチェックすることが必要と、教えていただきました。また、蕾が成長しすぎると花が咲いてしまうので、収穫の適切な時期を見逃さないことも注意しなければならないようです。
収穫祭の時期は、ブロッコリーがまだ小さい状況でしたので、自宅で収穫できるようにと、畑の苗をポットに植え替えて、お土産をいただきました。

8.生産者の深川さん

8.生産者の深川さん

9.ブロッコリーの畑

9.ブロッコリーの畑

10.ブロッコリーの蕾

10.ブロッコリーの蕾

11.持ち帰って20日目の苗

11.持ち帰って20日目の苗

収穫祭の終了後、もう一度トマトハウスへ

こちらのトマトハウスを運営するモスファームサングレイスは、生鮮野菜の安定した調達と農業生産地との協力体制強化を目指し、野菜くらぶとモスフードサービスの共同出資で設立した農場です。トマトの生育状況を詳しく確認するため、ハウスへ伺いました。
2023年は、3月が例年にないくらい暑い日が続いてしまいました。暑さの影響で、苗の成長が弱まり、ハチの活動が鈍り受粉が十分にされず、果実が減ってしまう心配がありました。状況を伺ったところ、ハウス内の温度や潅水の調整を行い、苗の生育状況を管理していただいた影響で、収穫量は昨年よりも15%ほど増加し、順調に栽培ができていました。
写真「13.ハウス内の様子」の赤系の光は、苗にLEDの光を当て、植物の成長に必要な光合成を促しています。

12.モスファームサングレイス

12.モスファームサングレイス

13.ハウス内の様子

13.ハウス内の様子

最後に、収穫祭を通じて

収穫祭に参加して、生産者の皆さんからのお話で、野菜を安定出荷するために努力されていること、おいしい野菜、よい品質の野菜を出荷するために常に植物と向き合って野菜を作られており、野菜づくりの大変さを知りました。また、初めて見たズッキーニの力強い風貌やブロッコリーの小さな蕾から成長する話を聞いて、植物の生命力を肌で感じることができました。私たちが食べている野菜は、農家さんが一生懸命育てているもので、熱い思いと努力が詰まった野菜で、また、植物が自然の恵みで成長したものを食べていることを学び、生産者の皆さん、食べ物に感謝を忘れてはならず、食べ物を大切にしなければならないと思いました。
貴重な体験をさせていただき、野菜くらぶの皆さん、ありがとうございました。

Text by Akagawa