産地だより 2020年3月

沖縄ファーム

2020年3月
沖縄県南城市 沖縄ファーム(レタス・グリーンリーフ・キャベツ)
代表生産者 大城 茂博さん

今月の産地だよりは、沖縄の沖縄ファームさんを紹介させていただきます。
那覇空港から南東部に向かって、車で約40分にある南城市大里に沖縄ファームはあります。南城市は2006年1月1日に1町3村が合併して誕生し、地域の半分以上が畑で古くからサトウキビを中心とした農業地域として栄えてきましたが、近年はサトウキビに替わりキュウリ・ゴーヤー・インゲン・オクラ・カボチャにレタス・キャベツが盛んな産地になっています。
また、南部東道路の工事も進められていて、すぐそばにインターチェンジができる予定ですので、那覇空港から15分程度とアクセスがよくなり、さらに人口が増えていくことが期待されています。

南城市には世界遺産も。

沖縄には首里城はじめ5つの城(グスク)と、その関連遺産の4つの遺物が世界遺産として登録されています。その中で南城市に「斎場御嶽(せーふぁうたき)」という世界文化遺産が、沖縄ファームから車で約20分の距離にありました。琉球王国時代に創世神「アマミキヨ」が作ったと言われている最高の聖地で、今でもたくさんの人が拝所として訪れています。

斎場御嶽の入口

斎場御嶽の入口

巨大な岩の奥に拝所

巨大な岩の奥に拝所

産地に着く前に。

那覇市から南風原町を過ぎて南城市に入ってまもなく、まずは腹ごしらえということで南城市名物「まんぷく食堂」さんの「牛汁」をいただきました。お店には牛汁の他に、山羊汁・馬汁・あひる汁や各定食もありました。肉の味がスープにしみていて、コクがあるのにくせがなく、お腹が空いてしたこともあり、一気に食べてしまいました。まさに「まんぷく」、ごちそうさまでした。

牛汁定食

牛汁定食

まんぷく食堂

まんぷく食堂

この南城市の沖縄ファームから県内のモスバーガー全店舗に、レタス・グリーンリーフ・キャベツを供給していただいている生産者が大城茂博さんです。
沖縄ファームに到着して早速、大城さんにお話を伺ってみました。

農業を始めたきっかけは何ですか?

「現在も野菜を集荷し、モスバーガーの店舗ごとにピッキングし、出荷していただいているオリオン商事さんで働いていましたが、今から24年前、自分たちで種からも、栽培からもいちから始めてみることで、もっといい野菜をお客さまに提供していきたいという思いで、南城市にあった空き地を借りて始めたんです。」
最初は2,000坪ほどを借りて、レタスとキャベツを栽培したそうですが、苦労してこれから収穫しようとした時、全部腐ってしまったそうです。「どうしてそうなったのですか。」と伺ったら、「本来は生育中盤から水をきる(根が土中に活着してから水は要らない)のに、もっと大きくしようと欲張って水をかけ過ぎてしまったんです。」と当時を思い出すように語られていました。
今では、冬はレタス・グリーンリーフ・キャベツの他にサニーレタスとネギ、夏から秋にかけてマンゴー・からしな・小松菜・チンゲン菜・ヘチマ・唐辛子とたくさんの種類の野菜を栽培されています。

モスから贈られた表彰盾を持って

モスから贈られた表彰盾を持って

今でも苦労されていることはありますか?

「数年に1回長雨があるのですが、最近は雨が少ないんです。でも、台風の影響で畑全部の野菜が出荷できない時期もあります。寒波で成長が鈍り、出荷できる時期がわかりづらかったり、反対に暖冬で計画より前進して、早く収穫した後に次の畑の収穫がつながらなかったりします。」と、天候には苦労し続けていられるようでした。
下の写真は毎日つけている晴雨表(天気表)で、ひとつの円は朝6時からスタートして夕方6時まで12時間で1周します。赤い部分は晴れ、黄色は曇り、青は雨で、中には台風のマークもありました。

過去数年間の晴雨表

過去数年間の晴雨表

真ん中に台風のマーク

真ん中に台風のマーク

また最近では「寒くなると、台湾白頭(タイワンシロガシラ)という外来種の鳥がやって来てレタス・キャベツやインゲンなどを食べてしまう」とのこと。異常繁殖して害鳥にも登録されたようです。収穫後はネットを張っていますが、それでも被害は続いているそうです。

台湾白頭に食べられたキャベツ

台湾白頭に食べられたキャベツ

害鳥対策でネットを張った畑

害鳥対策でネットを張った畑

うれしかったことはどんなことですか?

「手間ひまかけた農産物が、何事もなく天候や災害に負けずイメージ通りに収穫し、出荷された時がうれしいですね。」
働いていらっしゃる研修生の方の話をしていると、「今年法律改正があって就労期間が3年までだったのが、5年に変わったんですよ。日本語のテストも受かってその資格は取ったのですが、いったん1か月以上帰国しなくてはいけないんです。戻ってくるのか心配していましたが、3人全員戻ってきましたよ。」とうれしそうな表情もされましたが、「中には、帰ると畜産関係の仕事をしたり、野菜と関係のない仕事をする人もいるんです。」とちょっと寂しそうな表情も見せた大城さんでした。

研修生を指導している大城茂博さん

研修生を指導している大城茂博さん

笑顔で挨拶してくれた研修生のお二人

笑顔で挨拶してくれた研修生のお二人

栽培でこだわっていることは?

「シーズン終了後、ソルゴー(緑肥作物)を植え、連作障害防止と地力の維持を図っています。堆肥投入後、作付け前の土壌診断をしてから畑にあった肥料設計を立て、有機質中心に施肥し、農薬も極力抑えて栽培しています。また、安心安全の観点から、抜き打ちで残留農薬の検査も受けています。」とモスと同じく安全安心を第一に心がけています。
「新しくチャレンジしていることもあります。毎年新しい品種をいくつか試作し、来期向けに品種の選定もしています。」大城さんは、「冬シスコ」という特大サイズの品種も見せてくださいました。「冬シスコ」は厳寒期でも大玉になり、肉厚があり日持ちがよく、普通のレタスと遜色のない食味で、加工用に向いているとのことです。

冬シスコのレタス(右は普通の大玉レタス)

冬シスコのレタス(右は普通の大玉レタス)

最後にモスのお客さまにメッセージをお願いします。

「モスさんと関わって23年が経ちました。これからも安心安全はもちろんのこと、お客さまにおいしいと認めていただける農産物作りに精進し、励んでいきたいと思っています。沖縄ファームの安全安心でおいしい農産物をこれからもよろしくお願いいたします。」
大城茂博さんのレタスは5月中旬、グリーンリーフは6月中旬、キャベツは6月末ごろまで沖縄のモスバーガーに届けられる予定です。沖縄の皆さまはもちろん、沖縄に観光で来られた皆さまも、沖縄の野菜で作られたモスバーガーを是非お召し上がりください。

南城市を背景に

南城市を背景に

大城茂博さんと記念撮影

大城茂博さんと記念撮影

Text by MATSUSE