産地だより 2020年2月

JAやつしろ郡築園芸部

2020年2月
熊本県八代市 JAやつしろ郡築園芸部(トマト)
代表生産者 邑田 恭輔さん

今回の産地だよりは、熊本県八代市でトマトを栽培している協力農家さんの邑田恭輔さんをレポートします。
熊本県八代市は、秋冬トマト出荷量が全国1位を誇る産地で、県の中央に位置し、九州本土と天草諸島に囲まれた八代海に面しています。
八代市の気候は1年を通して温暖です。また、日本三大急流のひとつである球磨川があり、その清流を資源に工業も盛んで、さらには農業とも共有するまちです。
また、八代市は干拓地で、昔は海の底でした。畑の土を手に取ると牡蠣殻が出てきます。天然の塩分や海藻、牡蠣殻などのミネラル分が豊富に含まれる土壌の特質を生かしトマトを栽培しています。これにより、郡築で作られるトマトは、『コク』と『うま味』のあるおいしいトマトになります。
それでは、邑田さんに郡築トマトのおいしさの秘密とこだわりについてお聞きしたいと思います。

トマト栽培との出会い

邑田さんは実家が農家であり、トマトを栽培するお父さまの背中を見て育ちました。
高校卒業後、他の仕事に目もくれず18歳で農業の道を選んだそうです。農業の道を選んだ理由を聞いてみると、お父さまのトマト栽培一筋にかける情熱に憧れたこと。また、子供のころから生活の中にトマトが当たり前のようにあったことも理由だそうです。
18歳で就農して今年で7年目、現在25歳の邑田さんは、若手ながらJAやつしろ郡築園芸部のトマト部会で、部会役員として活躍しています。
JAやつしろ郡築園芸部のトマト部会の歴史は、50年以上前から始まり、熊本のトマト生産をこれまでずっとリードしてきた歴史ある部会ですが、55軒ある部会員のほとんどの生産農家(8割以上)には若手の後継者がおり、平均年齢45歳と若く、20年後、30年後も活発な生産が期待できる魅力ある部会です。
そのような歴史あるトマト部会の部会役員として、お父さまの背中を見て育った邑田さんは、いつかその父を超えるトマト生産者になることを夢見て、日々、トマトと向き合っています。
邑田さん!頑張って!

トマトを栽培するハウス

トマトを栽培するハウス

管理されたトマトハウスの中

管理されたトマトハウスの中

土作り

邑田さんに、『土作り』についてお話を聞いてみました。
JAやつしろ郡築園芸部会さんは、部会全体で土壌分析を基本にしたミネラルバランスを十分に考えた土作りと、生育コントロールを駆使し、おいしくて安全なトマトを栽培しているそうです。
トマト作りの基本は土作りからということで、トマトの苗を定植する前に、必ず土壌分析をして何の成分が足りないのか?また、何が多すぎるのか?ということを徹底的に調べて、最良の土壌をつくる努力をしています。
また、6月下旬に収穫を終了した後は、7月中旬より次の栽培の準備として、『土作り』を開始します。
『健康な作物は、健康な土作りから』、それがJAやつしろ郡築園芸部会さんの理念です。

元気に育っているトマト

元気に育っているトマト

モススタッフに生育状況を説明する邑田さん

モススタッフに生育状況を説明する邑田さん

栽培方法『黒砂糖・酢農法』

JAやつしろ郡築園芸部さんでは、土作りとともに、『黒砂糖、酢農法』を使ってトマトを栽培しています。
栽培方法として、『黒砂糖、酢農法』は、手間暇をかけた農法です。
材料の沖縄県産の黒砂糖と酢などを酵素の働きで3~4日ねかせて発酵させ、アミノ酸、果糖の液に変化させます。
それを葉面散布することで、トマトの糖度が上がり、よりおいしくコクとうま味のある状態になるそうです。また、病害虫の忌避効果や、トマトに艶ができ日持ちがよくなったり、ビタミン、ミネラルも豊富になるという効果もあるそうです。
邑田さん曰く、「『黒砂糖、酢農法』は、天然の材料を使用した農法で、労力や時間をかけた栽培方法です。手間暇をかけた分、トマトの実が詰まり、コクとうま味が増します。」と、話してくれました。

黒砂糖と酢を撹拌する邑田さん

黒砂糖と酢を撹拌する邑田さん

撹拌された黒砂糖と酢が入った容器

撹拌された黒砂糖と酢が入った容器

生育コントロール

次に、生育コントロールの方法についてお話を聞いてみました。
トマトの生育では、温度管理の他にも、追肥、防除、葉かき、摘果、芽かき、誘引といいた管理作業が行われ、この繰り返しにより、トマトをおいしく育てることができるそうです。
特に誘引方法は、邑田さん独自の誘引方法を取り入れています。その邑田流誘引方法は、トマトの樹が支柱を縫うよう横に誘引します。
誘引したトマトの樹をひもで固定し、収穫時は、トマトの樹を収穫する人の高さまで下げて収穫します。
また、邑田流誘引方法は、作業効率だけでなく、生長点にたくさんの日照を当てることができるので、光合成が活発になり、結果、生育を促進し、元気なトマトを栽培することができるそうです。
この方法は、作業効率の向上、生育促進と、理にかなった誘引方法だとお話を聞いて実感しました。

邑田流誘引方法

邑田流誘引方法

誘引の仕方を説明する邑田さん

誘引の仕方を説明する邑田さん

葉かきをする邑田さん

葉かきをする邑田さん

芽かきをする邑田さん

芽かきをする邑田さん

収穫と選果

次に、収穫と選果について、お話を聞いてみました。
「JAやつしろ郡築園芸部は、部会員全員が郡築町内だけの生産者で組織された部会です。
収穫後、名前入りのプラスチックコンテナに詰めて、選果場に運びます。
選果されたトマトは、1箱1箱に必ず生産者の印が入り、誰が生産したかわかる『顔の見える野菜』として生産者から出荷されます。
『顔の見える野菜』を出荷するため、生産者もその自覚を持ってトマトを生産しています。
「生産者としては、誰が生産したかわかるため、自然と選果選別が厳しくなり、それゆえ、厳選されたトマトを提供することができます。」と、話してくれました。
また、邑田さんに出荷されるトマトについてお話を聞いてみると・・・・
「一つひとつ、ていねいに育てたトマトの成長過程を実感し、収穫を迎えるときは、手塩にかけた分、自分の分身のように思います。このトマトが選果場から出荷され、お店の店頭に並んだり、お客さまが様々な商品として購入される姿を想像することが、日々、トマトと向き合う私自身のモチベーションとなっています。」と、話してくれました。
邑田さんのトマトに対する強い愛情が伝わってきました。

収穫後、コンテナに詰められたトマト

収穫後、コンテナに詰められたトマト

トラックで運ばれた邑田さんのトマト

トラックで運ばれた邑田さんのトマト

JAやつしろ郡築トマト選果場その1

JAやつしろ郡築トマト選果場その1

JAやつしろ郡築トマト選果場その2

JAやつしろ郡築トマト選果場その2

邑田さん渾身のトマト料理

せっかくなので、郡築トマトを使用した邑田さん渾身のトマト料理2品をご紹介します!!
1品目は、『MURATA流トマトすき焼き』です。
使用する食材には、トマト(もちろん郡築産)丸々1個をくし切りにし、牛肉、豆腐、長ねぎも使用します。お好みで好きな野菜を足します。
トマトの酸味と甘みが、すき焼きの出汁と調和し、まろやかさとやさしさのハーモニーを奏でます。邑田さん曰く、一度食べたらやみつきになるとのこと。
2品目は、『MURATA流トマトのブルスケッタ』を紹介します。
こちらもトマトを角切りにし、ニンニクをすりこんだパンを焼いた上に、オリーブオイル、塩、コショウで味をととのえ、ハーブ(バジル)をちらして出来上がりです。
箸休めとしてトッピングしたポッキー(チョコレート)を食べながら、酸味と甘みをさらに楽しむことができるそうです。
邑田さん曰く、「でも一番の食べ方は、そのまま丸ごとトマトにかぶりつく!トマト本来のコクとうま味が堪能できる!それが本来のMURATA流ですね。」とのこと。

『MURATA流トマトすき焼き』

『MURATA流トマトすき焼き』

『MURATA流トマトのブルスケッタ』

『MURATA流トマトのブルスケッタ』

邑田さんからのメッセージ

邑田さんにモスバーガーのお客さまに向けてひとこといただきました。
「JAやつしろ郡築園芸部会の部会員全員が土づくりにこだわり、ミネラルたっぷりのおいしいトマトを栽培しています。また、様々な生育コントロールを駆使して、最大限に農薬を減らしたトマト栽培に取組んでいますので、安心して、お客さまに召し上がっていただけると思います。おいしいですよ!!」
ミネラルたっぷりの土壌と邑田さんたちの愛情いっぱいで育てられたJAやつしろ郡築園芸部会さんのトマトは、6月末ごろまで、モスバーガー店舗に出荷されます。ぜひご賞味ください!!

邑田さんとフィリピンの技能実習生の皆さん

邑田さんとフィリピンの技能実習生の皆さん

Text by Osako