産地だより 2019年3月

株式会社ベジタブルズ金剛 代表生産者 木下 一司さん

2019年3月
熊本県八代市 株式会社ベジタブルズ金剛(レタス&キャベツ)
代表生産者 木下 一司さん

熊本県八代市は干拓地として有名ですが、これまで何度か産地紹介させていただいたように全国屈指の野菜産地としても有名です。日本三大急流のひとつ球磨川をはじめ、豊富な水に恵まれ、米・麦の他にトマト・キュウリ・スイカなどの栽培も盛んです。そんな巨大産地から今回はモスバーガーにレタスとキャベツを提供していただいているベジタブルズ金剛さんのご紹介をさせていただきます。

木下さんの紹介

まず初めにベジタブルズ金剛さんの歴史について、代表生産者である木下一司さんにお話を伺いました。
木下さんは、幼少のとき両親と長野県から入植され、23歳の時に父親が栽培していた畳表の原料となるイグサをバトンタッチで引き継ぎました。そして30代後半になり、畳表の値段が下落し、イグサの景気が芳しくなり、また自分はイグサ栽培にあまり向いていないのではないかと悩んでいたころ、周りの生産者から「少しケール(青汁の原料)を作ってみたら」とアドバイスされたことがきっかけで、キャベツやレタスの栽培も始めました。最初の数年間は、野菜が大きく育たなかったそうです。しかし、イグサを作っていたときと野菜作りでは土質が全然違うことに気づいたあとは、酸性からアルカリ性の土質に変えていったことで改善させることができたとのことです。
そして17年前「八代金剛出荷組合」として6人の仲間でスタートし、現在は9名で「ベジタブルズ金剛」として部会をまとめていらっしゃいます。

木下さんの路地畑

木下さんの路地畑

イグサ畑

イグサ畑

部会のこだわり『品種』

ベジタブルズ金剛さんのレタスは、毎年約10種類の品種を栽培しています。ラプトル(大玉で形状安定に優れ、斑点細菌病に強い品種)・オーウェン(根腐れ病に強く、形状が安定している品種)・マイヤー(暑さ病気に強く、葉色は濃緑)など特色ある品種を季節に合わせて換えているそうです。しかし畑によっては、思うように生育をしない品種があるとのこと。その年にうまくいかなくても2~3年工夫して作ってみて、それでもその畑に合わなければ品種を入れ替えているそうです。より品質の高い品種と栽培方法を探しつつ、リスクヘッジをして、安定的に出荷できる数量を確保しています。
木下さんは「何しろ作ってみないとわからない。試してみて初めてわかるんです。」と常にチャレンジ精神を忘れていません。

レタスハウスの様子

レタスハウスの様子

実際に木下さんのハウスを見せていただきました。こちらの品種は「ツララ」です。「ツララ」は厳寒期に強く、形状性に優れ、大玉で硬くなりにくいという特性があります。実際に食べてみると、巻きがソフトでふんわりしていて、葉が肉厚の甘みがあるおいしいレタスでした。

巻がソフトで肉厚のレタス

巻がソフトで肉厚のレタス

木下さんと畑を背景に

木下さんと畑を背景に

安全な野菜作りを目指して

木下さん曰く、農作物の生育に大切な土作りにかかせない堆肥(たいひ)は、できる限り自然物や有機物を使用しています。また、土壌分析をしっかりと行ったうえで、堆肥を必要な量だけ使用し、より安全で安心な野菜を安定的に出荷することをモットーとしています。
また昨年、部会全体としてJGAP(ジェイギャップ)という第三者認証を取得しました。JGAPとは「Japan Good Agricultural Practice」の略称で、直訳では「日本のよい農業のやり方」になりますが、食や労働の安全、環境保全に取り組む農場に与えられる認証です。野菜を栽培していくあらゆる工程の120項目以上を管理することで、安全性を高めるだけでなく、みんなの意識も変わり、野菜の収穫量も増えたとのことです。

部会の想い

ベジタブルズ金剛さんの経営方針は、以下の6つです。
1.食の安全
2.労働安全
3.環境保全
4.信頼できる販売管理
5.人権の尊重と適切な労務管理
6.地域社会との適切なコミュニケーション
木下さんは、部会として「これからも規模を拡大していくことよりも、一人ひとりのできる範囲で質のいい野菜作りを目指していきたい」とおっしゃいます。また「安全な野菜を作ることは生産者の最低限やるべきことで、自分の商品に自信をもって、こだわりをもって精一杯やっていきたい」と思いを伝えてくださいました。

キャベツの状態を確認する木下さん

キャベツの状態を確認する木下さん

モスのスタッフに説明する木下さん

モスのスタッフに説明する木下さん

モスのお客さまにメッセージ

「出来る限り安全でおいしい野菜を作っています。地元のモスバーガーの店頭で、生産者名に自分の名前が書いてあるのを見て、とても嬉しかったです。これからも他のモスの生産者に負けない気持ちで作っていきますので、安心して食べてください。」と力強い言葉をいただきました。
今年はレタスの次に、4月中旬頃にはおいしいキャベツがモスバーガーのお店に届けられる予定です。

メッセージを笑顔で話す木下さん

メッセージを笑顔で話す木下さん

Text by Matsuse