静岡県菊川市 野菜くらぶ静岡(ミニトマト)代表生産者 杉山 健一さん 2014年4月

静岡県菊川市 野菜くらぶ静岡(ミニトマト)代表生産者 杉山 健一さん

4月からの新メニュー「こだわり野菜の彩りサラダ」や野菜を食べるジュレデザート「ベジジュエル」には、赤や黄色のミニトマトが使われています。春から夏にかけて出荷量が増えてくるミニトマトはそれぞれのメニューに春らしい鮮やかさを加えてくれています。 今月の産地だよりは、それらの商品に使用される赤いミニトマトを栽培する「野菜くらぶ静岡」をレポートします。

サングレイス代表杉山さんが作るミニトマト

野菜くらぶ静岡には、ミニトマトの生産農家さんが、菊川市、御前崎市、焼津市に4軒あります。そのメンバーを代表するのが、杉山健一さんです。ご存じのように、杉山さんは、「(株)野菜くらぶ」とモスが共同出資して、静岡県菊川市と群馬県昭和村に設立した大玉トマトの農場「(株)サングレイス」の代表です。しかしその傍ら、静岡県の御前崎市でミニトマトの栽培にも取り組まれていました。
「ミニトマトも大玉トマトと同じように愛情をかけて作っています。モスがミニトマトも使うと聞いたときは素直にうれしかったですね」と杉山さん。

サングレイス農場の看板

サングレイス農場の看板

ミニトマト圃場の様子

ミニトマト圃場の様子

御前崎でミニトマトを栽培

杉山さんの農場のある静岡県御前崎市は静岡県中西部、東に駿河湾、南に遠州灘を望み、アカウミガメの産卵地や、サーフィンが盛んな地として、有名なエリアです。
「冬に晴れが多くて暖かい、サングレイスの菊川市と気温が3度違います。海に張り出しているので、風が強くて、雲がかかりにくいんですよ」と杉山さんは農業に適した御前崎の気候の特徴を話してくれました。

すぐ近くには海が広がります

すぐ近くには海が広がります

収穫を待つミニトマト

収穫を待つミニトマト

サングレイスの原点、隔離土耕栽培の取組み

杉山さんのハウスにお邪魔します。ちょうど出荷の最盛期に入る時期、たくさんのミニトマトが生っています。
杉山さんの農法の特徴は「隔離土耕栽培」です。「隔離土耕栽培」とは、従来の土耕栽培と違い、その土地の土で栽培するのではなく、大きなプランターに土を入れ、農作物を栽培する方法で、その地域の環境に左右されない環境制御型農業を行うとともに、土の力も最大限に生かすという農法です。
「御前崎は晴れが多いので、太陽の力は最大限に生かす、ただし農業にとっては土もかなり重要なので、その部分は土地に縛られないようにする。良いとこ取りを狙った、私向きの農法です」と杉山さんは笑います。
この農法は、その後設立した前述の「サングレイス」にも導入され、モスの大玉トマトの栽培にも生かされています。

隔離土耕栽培の様子

隔離土耕栽培の様子

収穫されたミニトマト

収穫されたミニトマト

商品の評価が直接伝わる野菜

杉山さんの農場では、良質の有機質肥料を使用し、たくさんの光に加え、バランスよく栄養分や水分を与えることで、甘味と共に酸味が感じられるミニトマトを目指して栽培しています。
「ミニトマトは産地や作り手によって味が変わる野菜です。スーパーでも他の野菜に比べ、産地や生産者で商品の購入を決める、いわゆる指名買いが多いと聞きます。私の農場のラベルも結構人気あるんですよ」と杉山さん。
「ただし、それに甘んじると大変。ほかの野菜に比べ、ドレッシングやソースを付けずに、単品で味わうことが多い野菜です。また、野菜嫌いのこどもでも食べる商材だと思っています。ということは商品の評価がストレートにお客さまに伝わるということ。変な物を作れば、選んで買ってくれていた方の信頼を裏切ることになってしまいます。怖いですが、その分だけやりがいがある野菜です」と杉山さんは力強く話してくれます。

ミニトマトの状態を確認する杉山さん

ミニトマトの状態を確認する杉山さん

杉山さんの名前が入ったパック

杉山さんの名前が入ったパック

ミニトマト栽培の難しいポイント

ミニトマトは、人手がかかる作物といわれています。人手がかかるポイントは収穫です。大玉トマト1玉分の重量を収穫するには、約20玉のミニトマトを収穫しなくてはいけません。
「手数もですが、同じ房の中で、どれが収穫して良いものかの見極めも難しいです。基本的に同じ房の中で、順々に赤くなっていきます。熟しすぎたのを採れば、お客さまの手に届くころには傷んでしまう。反対に未熟の物であると、味に影響がでてしまう。作業者の熟練度が必要になってきます」と杉山さんは言います。

管理作業の様子です

管理作業の様子です

どれが収穫に適したものでしょう?

どれが収穫に適したものでしょう?

黄色ミニトマトにも挑戦

今回ミニトマトを導入するにあたり、モスの担当者が苦労した点は、黄色ミニトマトの調達でした。赤いミニトマトに比べ、生産量が圧倒的に少ないのが問題です。
そんな中、杉山さんはモスの作付け依頼に答えて、夏の出荷に向けて黄色ミニトマトを栽培してくれています。
「同じミニトマトでも、品種が違うとそれぞれに癖があり、不安な部分がありますが、きちんと出荷できるようにチャレンジします」と杉山さん。
作付け前には、宮崎で黄色のミニトマトを栽培している「河野農園」を訪問、実際の生産現場を確認し、準備は万端です。

河野農園を視察する杉山さん

河野農園を視察する杉山さん

河野農園の黄色ミニトマト

河野農園の黄色ミニトマト

杉山さんからのメッセージ

杉山さんにお客さまに向けて一言頂きました。
「大玉トマトだけでなく、ミニトマトもモスバーガーに出荷できることはとてもうれしいです。期待に応えるミニトマトを出荷していきます」
野菜くらぶ静岡のミニトマトは、4月~6月の間、関東、甲信越、静岡のエリアのお店に出荷されています。甘味と酸味のバランスのとれたミニトマトの味を是非ご賞味ください!

一生懸命出荷します、よろしくお願いいたします。

一生懸命出荷します、よろしくお願いいたします。

Text by Yagi