熊本県八代市 JAやつしろ郡築支所園芸部会 稲田 寿雄さん

熊本県八代市 JAやつしろ郡築支所園芸部会 稲田 寿雄さん

熊本県八代市は熊本県南の中心的な市であり、県下第2位の人口を有する田園工業都市です。西部の八代海に面した平野部は、その半分以上が江戸時代以降何度も行われた干拓により造成された土地で、今では冬場のトマトの一大産地として知られています。今月の産地だよりは、その地でモスのトマトを栽培している「JAやつしろ郡築支所園芸部会」をレポートします。

海のミネラルたっぷりの郡築の土地

JAやつしろ郡築支所園芸部会がある郡築という地域は、八代市の西部に位置し、1年を通じて温暖で、球磨川が流れる八代海に面した干拓平野にあります。このあたりの土地は、100年ほど前は海の底だったことから、天然の塩分や海藻やカキ殻のミネラルを豊富に含んでおり、自然にある海のミネラルを活かした野菜の栽培が行われています。今でも畑の土を手に取ると、カキ殻が簡単に見つかります。

さすが干拓地、平らな土地に畑が広がります

さすが干拓地、平らな土地に畑が広がります

わかりますか?中心の白いものがカキ殻です

わかりますか?中心の白いものがカキ殻です

毎年の土壌診断による土づくり

JAやつしろ郡築支所園芸部では、健康で美味しいトマトは健康な土から生まれるという考え方のもと、毎年、土の健康診断ともいえる土壌診断を行い、土の養分バランスを重視する農業を実践しています。また生育途中の作物の状態を観察しながら、肥料や栄養分を必要な時に必要な分だけ与えて、生育をコントロールする農法に取り組んでいます。
これらの取組みは、コストや時間や手間のかかることですが、栄養価が高く美味しい「郡築トマト」のブランド向上に役立っています。

収穫されたトマト

収穫されたトマト

箱詰めされ出荷される郡築トマト

箱詰めされ出荷される郡築トマト

共同選果機の導入

産地に到着し、まずは選果場の確認です。
郡築トマトの最近の大きな変化の一つに、共同選果場の立ち上げがあります。トマトの大きさや形を機械が判定し、自動的に仕分けを行う選果機を中心に、農家さん達のトマトを一つの場所でまとめて選果・箱詰めする方法に、昨シーズンから本格的に変更しました。今までは、農家さんそれぞれが個人ごとに選果・箱詰めをしなければならず、夜遅くまで作業が続き、その負担はかなりなものでしたが、共同選果のスタートにより農家さん達は、栽培のみに専念して、仕事ができるようになったそうです。
しかし、郡築では共同選果になっても、個別に選果していた頃の良かった点はなくしていません。今でも箱の記載された番号から農家さんが特定できますし、トマトの品種ごとに分けて、箱詰めを行ってくれています。トレーサビィティの観点から、このことは非常に良いことだと感じています。

選果場の様子

選果場の様子

品種や生産者を分けて選果しています

品種や生産者を分けて選果しています

糖度センサーによるチェック

選果機を次々と通って行くトマト、この選果機には糖度センサーも付いています。
郡築トマトでは、このセンサーを使い、個人ごとにすべてのトマトの糖度のデータをグラフ化して記録しています。農家さんたちはこのデータを日々お互いに確認し、状態によっては、グループで用意している黒砂糖と酵素を混ぜた糖蜜をトマトに天然の栄養剤として施用し、メンバー全員のトマトが常に一定の水準にあるように努めているそうです。

一目で糖度の分布が分かるグラフ

一目で糖度の分布が分かるグラフ

郡築オリジナルの「糖蜜」を確認

郡築オリジナルの「糖蜜」を確認

今シーズンのトマトは

部会長の稲田さんのトマトハウスを訪問しました。
今シーズンのトマトの状況をうかがいます。
「今年は気温が低いのが影響して、3週間から4週間ぐらい、いつもより遅れているのですが、結果的に長い時間かけて栽培していることになっているので、実が充実して、味がすごく良くなっています」と稲田さん。
トマトの量が増えてこないのは心配ですが、その味は大満足!たしかに稲田さんのおっしゃる通りです。

稲田さんに話しを伺います

稲田さんに話しを伺います

収穫を待つ稲田さんのトマト

収穫を待つ稲田さんのトマト

味へのこだわり

稲田さんのお話を聞いていると、やはり味についての話題がよく出ます。
「少しでも美味しいものを作らないと」
「美味しくない物を作ったら、他のメンバーに迷惑がかかっちゃう」
など、その味へのこだわりの姿勢にうれしくなります。
それがよくわかるエピソードが、品種の話になった時です。昨今、全国的にトマトを悩ましている黄化葉巻病という病気があります。被害を防ぐため、その病気を発症しない品種が、さまざまな種苗会社から出されており、郡築でもテスト栽培として、色々な耐病性品種を作っています。ただ残念ながら、味についてはまだまだ不十分な点があります。
「私たちは、従来の品種と耐病性がある品種を、一緒の箱に入れてしまうということはしません。もし入れてしまうと、それはお客さんを騙すことになってしまいますから」と稲田さんは言います。
確かに、病気に強くなおかつ味のよい品種を探すため、耐病性の品種をテスト栽培することは必要なことです。しかし郡築のトマトのブランドを守るため、現状をきちんと認識し、お客さまにそのことをきちんと開示して販売している郡築の農家さん達の姿勢は素晴らしいものと感じました。

トマトの樹の状態を確認する稲田さん

トマトの樹の状態を確認する稲田さん

最後に一言

最後に稲田さんにモスバーガーのお客さまにむけて一言頂きました。
「美味しいトマトを目指して一生懸命やっています。是非モスバーガーに行ってどんどん私達のトマトを食べて下さい!」
稲田さん達のトマトは10月下旬から翌年の6月頃まで、関東、関西のモスバーガーを中心に納品されています。店頭の黒板で名前をさがして、是非召し上がってみて下さい!

美味しいトマトを一生懸命作っています

美味しいトマトを一生懸命作っています

Text by Yagi