産地だより 2018年7月

岩手県岩手郡 株式会社アンドファーム(レタス) 代表生産者 三浦 正美さん

2018年7月
岩手県岩手郡
株式会社アンドファーム(レタス)
代表生産者 三浦 正美さん

今回は主に、東北6県にレタスとキャベツを出荷していただいているアンドファーム三浦正美さんの紹介をさせていただきます。
アンドファームがある岩手県岩手郡岩手町(いわてまち)は、盛岡市内から車で北に向かって約1時間のところに位置し、北上川の源流があり、町のモットーは「豊かな自然と調和した、希望と安心が実感できる、交流と健康福祉のまち」です。
また、標高250mから700mまであり、夏場は昼の気温が高く夜は涼しく、寒暖の差が大きく野菜の栽培に適した場所で、アンドファームの野菜はこうした自然環境の中で育てられています。

岩手町風景1

岩手町風景1

岩手町風景2

岩手町風景2

アンドファームの由来

アンドファームは「いきいき農場」という社名でしたが、2016年4月1日株式会社アンドファームとして法人化しました。
「農業と健康」、「農業と教育」、「農業と環境」のように、「何か」と農業を掛け合わせたつながりを増やしていきたい。農業が持つ可能性を「アンドファーム」という社名に込めたそうです。
以前は三浦さんと奥さまの博子さんが中心となって、気合と根性で突き進んできましたが、これからは「お客さま・お取引さま・働いているみんなに信頼される関係を作っていきたい。結びついていきたい。」また「アンドファームで働くことができてよかった。幸せだ。」と働いているスタッフに感じてもらえる職場にしたいという想いから変えられたとのこと。

三浦さんの経緯

三浦さんは父親の跡を継いで二代目として40年経ちました。はじめはレタス・キャベツ・白菜だけだったそうですが、お客さまの要望に応えるうちに今はトウモロコシ・大根・長芋・にんじんなど12品目以上の野菜を作っています。
三浦さんがまだ30代のころ、土壌改良を繰り返し、やっとよくなってきたと喜んでいたところ、借地だったために、土地を返すことになってしまいました。その時の経験から借地ではなく、自分の土地で自由に作りたいと思い、近隣の七時雨(ななしぐれ)地区の26haを全て借金で買いました。今では90haまでになり、もうすぐ100haです。次は麦を栽培したいと考えています。麦の後にはいい野菜ができるとのこと。病気の予防になり、肥料も抑えられ、今まで以上に安全・安心でさらにおいしい野菜を作ることを目指しています。

レタス一面の畑1

レタス一面の畑1

レタス一面の畑2

レタス一面の畑2

こだわりと試み

三浦さんの口癖は「苗作七分」。野菜の品質は苗の管理で7割が決まる。苗がよく育たないとおいしい野菜はできないという考え方を基本とされています。また、できるだけ農薬を使わず農薬以外で野菜に抵抗力をつける研究も重ねています。
その一環として、土づくりにもこだわっています。畑の土の中などにいる微生物の力を借りて、土の物理性、化学性、生物性を改善しています。この微生物の力を十分に発揮させるためには、“エサ”となる有機物が必要です。同地域は畜産業も盛んであることから、そこから産出される有機物(主に家畜ふん)を“資源”として捉え、堆肥に作りかえることで有効利用しています。
今年は新しい栽培の試みとして、山の上から流れてくる水が下側の圃場に溜まらないよう途中で切り目を入れる工夫もしていました。

地元で調達した堆肥

地元で調達した堆肥

流れる水を横に逃す排水対策

流れる水を横に逃す排水対策

そのおかげもあり、一面に広がるレタスはどこを見てもきれいに一律に育っていました。
今のレタスはメルカドという品種を採用しているそうです。ゆっくり育って葉が巻き込みにくく、干ばつや耐暑性に強い品種であり、7月20日ごろまで出荷できるそうです。

そして最後に、三浦さんいわく「面積をただ増やすと、仕事が雑になりがちになります。仕事は丁寧にしたい。大量に収穫する中の一つをお客さまがお買いあげになるのですから。お客さまが喜んでいただけるために、とにかく記録を残し、反省し、次の年にはそのことを活かしきる。そして全員で共有していく。」と熱い気持ちを伝えてくれました。

元気に生育中の三浦さんのレタス

元気に生育中の三浦さんのレタス

今後の展望について

この質問に「これからは若手の育成です。」と三浦さんは即座に答えていただきました。
「若手育成のためには、知識と観察力と現場力を持ち合わせて、ぶれない野菜づくりをしていくことが大切だと思います。いい加減をすると連鎖します。同じ考え方で若手と仕事をすることで、さらに私たちが規範となっていくことで若手の育成ができると考えています。
最終的にきれいに収穫した野菜は、お客さまも喜んでいただける。」と話してくれました。
育成目標は7人とのこと。「今は何人いますか。」と尋ねたところ、「今は4人。あと3人です。」と目標は明確です。

モススタッフに説明する三浦さん

モススタッフに説明する三浦さん

モスのお客さまにメッセージ

「『おいしい。また食べたい。』とお客さまに言っていただけるように、いい土作りから一切手を抜かず、気持ちを変えずに、曲げずに頑張っていきます。」と、心強い言葉をいただきました。
三浦さんのレタスは、10月初めまで東北の店舗に届けられる予定です。また7月27日には盛岡市内6店舗で、レタス以外の野菜も販売予定です。
今年の夏にぜひご賞味ください。

三浦さんからメッセージ

三浦さんからメッセージ

Text by Matsuse