産地だより 2015年3月

2015年3月
静岡県菊川市 野菜くらぶ静岡(レタス)
生産者 塚本 佳子さん

今回の産地だよりは、静岡県菊川市での協力農家さんである、野菜くらぶ静岡の塚本さんの、レタス栽培にかける情熱をレポートします。
塚本さんは、大学卒業後、青年海外協力隊に参加し、海外で野菜の栽培方法を指導していました。そして、日本に戻り、新規就農し、今年で10年目を迎えます。

レタス栽培に携わったきっかけは?

塚本さんは、青年海外協力隊に参加した後、自分で農業をして生計をたてたいと思い、実家近くの関東圏で、新規就農できるところを探していました。
その頃、群馬県昭和村にある(株)野菜くらぶが、「独立支援プログラム」(農業技術の習得から独立後まで、新たに農業を始めたい人をバックアップするプログラム)を行っていることを知り、興味を持ったそうです。
そして、農業人フェアに参加し、(株)野菜くらぶの澤浦社長の話を直接聞き、塚本さんは、研修生になりました。
塚本さんの研修場所は、群馬県昭和村で、夏期は高原レタスの栽培が盛んな場所です。
夏の間は、レタスを出荷しているのですが、お客さまからの「通年でレタスを出荷してほしい!」という要望に応える為、温暖な気候の静岡県菊川市で、冬にレタスを栽培する計画があり、研修生であった塚本さんが抜擢され、静岡県でレタスを栽培することになりました。
ここから、塚本さんのレタス栽培が始まるのです。

レタスの収穫風景

レタスの収穫風景

収穫後、トラックに積まれる塚本さんのレタス

収穫後、トラックに積まれる塚本さんのレタス

レタス栽培にかける塚本さんの思いとは?

レタスを作り始めた当初は、何もわからず、たくさんのお客さまから、要望やクレームを頂いたそうです。
塚本さん曰く、「お客さまから頂いた、要望やクレームが栽培技術の向上につながり、お客さまに認めてもらえる、レタス栽培にかける目標ができました。」と話していました。
レタスは、軟弱野菜と言われています。結球(葉が重なり合って球のようになること)するレタスは、管理方法を間違えると、結球しなかったり、病気になったり、形がいびつになってしまうそうです。
そのため、自分の管理結果が、収穫物を通してわかることが、やりがいにつながるとも話していました。
そして、塚本さんは、「農作物は正直で、生産者の性格で育ってしまいます。気持ちが乱れると、農作物の生育も乱れてしまいます。嘘もごまかしも通用しないので、栽培に携わる時は、平常心を心がけ、真正面からぶつかっていくようにしています。」とも、話してくれました。

レタスの生育状況を説明する塚本さん

レタスの生育状況を説明する塚本さん

レタスの圃場

レタスの圃場

レタス栽培で苦労したことは?

静岡県菊川市では、田んぼの裏作として、レタス栽培をしています。
田んぼは、水がたまりやすい構造になっているため、乾燥を好むレタスは、そのまま栽培すると、湿害(農作物が、土壌水分過多のために受ける被害)により、病気で腐り、また、大きくならなかったりするそうです。
それらを防止するために、田んぼが乾くように、田んぼ周りに溝を掘り、圃場に残っている稲わらを田んぼの外に持ち出す作業から始まります。
塚本さん曰く、「特に、お米の収穫が終わったばかりの夏の暑い時期は、力仕事が多いので、夏バテしそうになります。でも、この夏の準備が、良いレタスを栽培するために、とても大切です。」と話していました。

レタスの生育状況を確認する塚本さん

レタスの生育状況を確認する塚本さん

台車を使用して、レタスを収穫する塚本さん

台車を使用して、レタスを収穫する塚本さん

レタス栽培のこだわりその1

塚本さんのレタスは、特別栽培農産物基準(その農作物が生産された地域の慣行レベルである化学肥料、農薬の使用量、使用回数を50%以下にして栽培された農作物)以下での栽培を心がけています。
冬は、レタスの栽培方法として、トンネル栽培(畝をビニールなどでトンネル状に覆って作物を栽培する方法)を実施しています。気温が低いので、虫の被害はありませんが、トンネル栽培で蒸しこんでしまったりするので、換気の作業が遅れると、レタスが腐ってしまいます。
また、トンネル内の温度と湿度のバランスを管理するために、換気を細目に実施しています。
結果、農薬を使用せず、また、病気にもなりづらく、良いレタスが栽培できるそうです。

トンネル栽培

トンネル栽培

レタス栽培のこだわりその2

塚本さんは、栽培管理を他の10名の生産者さんと共に行っています。
作業する人が変わると、レタスの生育状況が変わるそうです。
また、生産者さん全員が、同じ理想のレタス像をもって、作業に携わっていくことで、高品質なレタスを安定的に出荷することができます。
そのために、塚本さんは、時間があれば、生産者さんとのコミュニケーションをはかり、そして、定期的にミーティングを実施しています。
栽培に関する情報の共有化、意見交換をすることで、誰が作業に携わっても、同じ質の仕事、高品質なレタスが栽培できます。

レタスの収穫作業

レタスの収穫作業

収穫したレタスの詰め込み作業

収穫したレタスの詰め込み作業

塚本さんからのメッセージ

塚本さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言頂きました。
「冬のレタスは、収穫までに最大3ヵ月かかり、ゆっくり生育しているため、葉肉が厚く、味が濃く、食べ応えのあるレタスです。また、夏とは違った存在感のあるレタスは、ハンバーガーにとても良く合います。是非、私の育てたレタスを食べてみてください!!」
塚本さんの愛情と情熱で栽培したレタスは今が旬です!!是非、モスバーガーのお店でご賞味ください!!

塚本さん

塚本さん

Text by Osako