静岡県湖西市 チームやらまいか 汐見出荷組合大根部会 佐原 敏樹さん

静岡県湖西市 チームやらまいか 汐見出荷組合大根部会 佐原 敏樹さん

湖西市は静岡県の最西端、愛知県との境に位置し、南を太平洋、東を浜名湖に囲まれた自然豊かで温暖な地域です。今月の産地だよりはこの地で、「こだわり農家の大根サラダ」の大根と紅芯大根を栽培しているチームやらまいか汐見出荷組合大根部会をレポートします。

キャベツと共に大根も栽培

今回紹介する佐原さんは、チームやらまいかキャベツ部会の代表として、長年モスバーガーのキャベツを栽培してくれている農家さんです。産地確認の際、本来はキャベツだけでいいのですが、必ず自慢の大根を試食させてくれます。その品質はキャベツと同様にずっしりと重く、食べるとジューシーで甘い、まるで梨みたいな印象をうけます。
「この大根をモスのメニューで使用できないか?」というのが、歴代モス担当者の誰もが思う感想でした。
キャベツ畑が広がります。

キャベツ畑が広がります。

佐原さんの自慢のキャベツ

佐原さんの自慢のキャベツ

佐原さんの大根がついにメニューに

そんな経緯もあり、秋・冬の旬をイメージしたサラダのメニュー開発の話が出た際、真っ先に思い浮かんだのは、大根のサラダでした。しかし、通常の白い大根だけでは、インパクトが少し足りない・・。そこで導入したのが「紅芯大根」です。表面は白いのですが、切ると中は真っ赤、赤い色素はポリフェノールであり、高い抗酸化力があると言われています。なにより鮮やかな赤い色はサラダの彩りにも最適です。こうして生まれてきたのが、10月29日より発売している「こだわり農家の大根サラダ」です。
紅芯大根を持つ佐原さん。

紅芯大根を持つ佐原さん。

中を切ると鮮やかな赤色が!

中を切ると鮮やかな赤色が!

紅芯大根への挑戦

抗酸化力もあり、サラダの彩りとして、最適な紅芯大根ですが、最大の問題が栽培している農家さんが少ないことでした。このままでは、安定供給が出来ない。そこで、佐原さんのような、モスの協力農家さんでありながら、大根も一緒に栽培している農家さんに、モス専用として栽培してもらうことを依頼しました。一度も作ったことがない作物に対し、不安もあると思いますが、たくさんの農家さんが答えてくれました。写真の成田さん、井上さんもその中のお一人です。
こだわり農家の大根サラダ完成品!

こだわり農家の大根サラダ完成品!

レタスの協力農家さんの青森の成田さん

レタスの協力農家さんの青森の成田さん

紅芯大根栽培の苦労

佐原さんの畑を訪問しました。畑にはいつもの立派な大根と、普段は見ない紅芯大根が並んでいます。
「工夫してうまく作ったけど、やっぱりもう少し時期が後だったら良かったかな」と佐原さん。
サラダの発売開始に間に合わすため、この紅芯大根は8月20日に播種をしましたが、本来はもう3~4週間ぐらいあとの播種が最適な時期だそうです。白大根であれば、播種時期に合わせて、様々な品種が開発されておりますが、紅芯大根はそうではありません。ネックは暑さ。昨年のテスト栽培では、暑さにより栄養素を根が吸収することが出来ず、芯の部分が黒くなってしまう障害が出てしまいました。今年は対策として、寒冷紗で作物を覆い、暑さを抑え、栄養素の吸収がよりしやすくする資材を畑に入れて、大きな問題なく栽培出来ましたが、珍しい野菜を導入する苦労を改めて感じました。
大根畑の様子。

大根畑の様子。

収穫を待つ紅芯大根。

収穫を待つ紅芯大根。

人間と同じように野菜を育てる

佐原さんに栽培のこだわりを聞きました。
「人間と同じように育てること」と佐原さん。
人間は赤ちゃん⇒こども⇒大人と成長していくに従い、世話のやり方や食べ物が変わっていきます。野菜もそれと全く一緒で、生育状態ごとに必要な世話や栄養を見極め、それを過不足なく与えることで、病気にならない健康的な野菜が出来ると言われています。
佐原さんはこのやり方を実践し、この時期にはこの栄養が必要、といったことをマニュアル化し、全国の若い農家さんに伝えています。
「自分は何十年もかけてしまいましたが、若い人たちが同じように苦労をする必要はない、理屈を知って、このマニュアルを参考に栽培すればいいんです」と佐原さんは言います。
若い人に惜しげなく農業技術を伝える、こういった姿勢も佐原さんたちチームやらまいかの素晴らしい点の一つだと考えています。
大根を確認する佐原さん

大根を確認する佐原さん

ジューシーな大根の断面

ジューシーな大根の断面

野菜は薬草という考え方

佐原さんの野菜のこだわりのもう一つ大きなこだわりは「野菜は薬草」という考え方です。
「食べたら、健康になる、病気が治るといったものを作らなきゃ」と佐原さんは言います。農業と言えば「収量」が第一で、そこからすすんで「美味しさ」ということがポイントになると思いますが、佐原さんは更にもう一歩すすんで、「人を健康にする」という視点で農業に取り組んでいます。
しかも、チームやらまいかの野菜はどれも、大きくて、重いのが特徴です。
「大きくて、重くて、いっぱい取れれば、世界的な食料難を救える」、「大きくて体に良い物を作るのが、農家の使命だから」とチームやらまいかの皆さんは言います。
「収量」と「健康や美味しさ」は両立しないと思いがちですが、そうではなく両方を目指すべき、という正しい農家さんの姿がここにはあると感じています。
収穫されたずっしり重い大根

収穫されたずっしり重い大根

野菜は薬草という考え方

最後に佐原さんにお客さまに向けてのメッセージをもらいました。
「本来の美味しさを味わえる野菜を作っていますので、是非こどもさんに食べてもらいたいです」
佐原さんの大根は、主に、中京、静岡、関東のモスバーガーに納品されています。その味を是非、お店で確かめて下さい!
ぜひ食べてみてください!

ぜひ食べてみてください!

Text by Yagi