長野県川上村 小川グリーン研究会 古原 和哉さん

長野県川上村 小川グリーン研究会 古原 和哉さん

川上村は、長野県の南東部に位置し、村域全体が標高1,000mという高冷地にあり、日本最長の河川である千曲川(信濃川)の源流の里として知られております。また夏の冷涼の気候と、豊かで綺麗な水を生かした高原野菜の栽培が盛んであり、なかでもレタスに関しては、日本有数の産地の一つとなっています。今月の産地だよりはその地で、モスのレタスを栽培する小川グリーン研究会をレポートします。

レタス農家さんの生活とは?

川上村は夏でも冷涼で、雨が少なく湿度が低いという、レタスにとっては最適な栽培条件をそろえているため、大産地として成長してきました。しかし、標高が高いということはそれだけ、寒さが来るのが早いということ、農作業ができる期間が非常に限られています。極端に言うと7月〜10月の4ヶ月で1年間の収入を得なくてはならず、夏の間の川上村のレタス農家さんは非常にハードな生活を送っています。
日付が変わると起床して、午前2時頃よりレタスの収穫、昼ごろには収穫が終わり、休憩の後は、夕方まで、苗の植え付け、雑草とりなどの様々な作業を行います。その後すぐに就寝しても、平均睡眠時間は3〜4時間、私達が真夏に瑞々しいレタスを食べられるのは、このような農家さん達の努力があるのです。
天然記念物川上犬が描かれた看板

天然記念物川上犬が描かれた看板

暗闇の中のレタス収穫風景

暗闇の中のレタス収穫風景

明け方までレタス収穫は続きます。

明け方までレタス収穫は続きます。

2つに分かれるレタスキャリア

小川グリーン研究会の代表の古原和哉さんは、現在52歳。まだまだ若いですが、レタス栽培歴は34年を数えるベテラン農家さんです。ただそのレタスキャリアの34年間は前半と後半で大きく異なります。分かれ道は今から約20年前、30代前半の頃です。
こどもが出来て、これから先も農業をやって行くにあたって、化学肥料と農薬で、量を多く出すということだけの農業に疑問を持ったそうです。それから古原さんは、有機肥料を使い、農薬も出来るだけ抑える栽培への取組みを始めます。
「それまでは、化学肥料と農薬の使い方が農業技術だと思っていました、ただそれは違う、食べたら健康になる野菜を作るのが、本当の農業技術なのだと思いました」と古原さんは言います。
すがすがしい川上村の風景

すがすがしい川上村の風景

古原さん(右)とメンバーの伊藤さん(左)

古原さん(右)とメンバーの伊藤さん(左)

生産グループなのに「研究会」?

考え方を改め、作り方を変えた古原さんは、同じ考えを持つ仲間と独立し、小川グリーン研究会を立ち上げます。
「小川というのは、畑があるのが小川山の麓だから、グリーンは葉物の緑です」と古原さん。
そこまでは何となくわかりますが、特殊なのが、「研究会」です。生産グループなのに研究会とは珍しいと感じます。
「農業には、出来上がった形が無いと考えています。常に作り方に対して、研究していく、新しい物に挑戦していくという気持ちを込めています」と古原さんは教えてくれました。
遠くに見える小川山の風景

遠くに見える小川山の風景

レタスの状態を確認

レタスの状態を確認

小川グリーン研究会のこだわり

小川グリーン研究会の栽培へのこだわりを伺います。
「昔は、漢方薬の残渣など、植物系の有機肥料をつかっていましたが、今は魚系が主体になっています。また土に酸素を供給する資材を使って、根張りをよくする工夫も行っています。ただ今のこだわりは化学肥料です」と古原さん。
有機肥料のこだわりの話はよく聞きますが、化学肥料へのこだわりとは面白い話です。
「肥料分の4割は化学肥料を使用するのに、今までその事はなんにも考えて無かった。ただ入れればいいという感じ。同じ土に入れるもの、何でもいいじゃいけないと思ったんです」と古原さんは言います。
小川グリーン研究会の化学肥料はオリジナルブレンドの特注品、収穫の時期にちょうど肥料成分が切れて、レタスの苦味がなくなり、環境への影響も少ない肥料になっているそうです。
「有機でどんなにいいものを作っても、小さくて出荷できなきゃ意味が無いと思います。実は(有機肥料も含め、使っている資材の中で)この化学肥料が一番高いんですよ」と古原さんは笑います。
収穫され出荷を待つ古原さんのレタス

収穫され出荷を待つ古原さんのレタス

土の状態を確認します

土の状態を確認します

今年のレタスの状況は?

畑に行き、今年のレタスの状況を伺います。
「干ばつで雨が降らないので、なかなか大きくなりません。スプリンクラーで水を播いていますが、やっぱり天然の雨にかなわないですよね」と古原さんは言います。
今年は産地に雨が少なく、協力農家さん達は苦戦しながらも、必死にモスバーガーに出荷をしてくれています。
「ただ、うちの畑は、すぐそこの小川山から湧き出る源流の水をかけているので、それだけでも、美味しいレタスができると思いますよ」と古原さん。
畑でレタスをガブリ、苦味を全く感じない、古原さんの理想通りのレタスが出来ていると感じます。
「偉そうなことを言っても、味について本当は心配、実はいつもレタスを食べながら確認しているんですよ」と古原さんは恥ずかしそうに笑いながら言います。
サニーレタスに水を播きます。

サニーレタスに水を播きます。

植えたばかりの苗に必死で水を播きます

植えたばかりの苗に必死で水を播きます

こんな綺麗な川の水を使っています。

こんな綺麗な川の水を使っています。

最後に一言

最後にモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「野菜でハンバーガーの味を落とさないように日々頑張っています、これからもよろしくお願いします!」
栽培について、あくなき研究を続ける小川グリーン研究会のレタスは、6月中旬〜10月の間、主に関東地域のモスバーガーに出荷されています。是非お店で、その進化し続ける味を確かめて下さい。
今後もよろしくお願いします!

今後もよろしくお願いします!

Text by Yagi