茨城県八千代町 八千代組合 増山 喬史さん

茨城県八千代町 八千代組合 増山 喬史さん

東京からおよそ60km。八千代町は茨城県の南西部、遠くに筑波山を望む田園地帯が広がる自然豊かな町です。平坦な地形と鬼怒川の豊かな流れに支えられ、また首都近郊という立地条件を活かして、首都圏の主要な食料生産基地となっております。今月の産地だよりはこの地で、モスのレタスやキャベツを生産している「八千代組合」を紹介します。

地域に先駆けてレタス栽培をスタート

増山さんはもともとキャベツ農家さん、平成元年に「野菜本来の持つ美味しさを大切にし、愛情を込めた、安心安全な野菜を届けたい」という思いを持つ地域の仲間を集めて、八千代組合をつくりました。モスとの出会いは約16年前、モスバーガーが農家さんの顔が見え、農薬や化学肥料に頼らない野菜の取組みを始めた頃からの関係になります。当初はキャベツ栽培が主でしたが、各取引先の要望を受け、当時、地域では少なかったレタスの栽培を、グループとしてスタートさせたそうです。
「栽培スタートの頃は誰も作っている人がいなかったからなのか、不思議とレタスには虫が付かないんです。“虫もつかない野菜”と周りの人にからかわれました」と増山さんは笑います。
八千代組合到着

八千代組合到着

レタス畑が広がります!

レタス畑が広がります!

農薬や化学肥料を抑える取組み

八千代組合では、農薬や化学肥料を地域の半分以下に抑える栽培を実践しています。そのために、畑の土壌診断を行い、それぞれの畑に適正な有機質を主体とした肥料を入れるのはもちろん、同じ畑で同じ物を続けて栽培すると発生する「連作障害」を防ぐため、えん麦を緑肥として夏の間に植えたり、また、畑全面をマルチと呼ばれるビニールで覆う「全面マルチ栽培」を取り入れたりと、様々なことに取り組んでいます。
「全面マルチ栽培だと、草を抑えられる上に、間隔をあけてレタスを植え付けができます。そうすると風が通るようになって病気の発生が少なくなるんです。長野のレタス産地で見て、いち早く自分の畑に導入しました」と増山さんは言います。
レタスをチェックする増山さん

レタスをチェックする増山さん

ふんわりとした巻きの柔らかいレタスです。

ふんわりとした巻きの柔らかいレタスです。

サニーレタス畑の様子

サニーレタス畑の様子

GAPの取組み

八千代組合では、3年前よりGAPの取組みをスタートさせました。GAPとは「Good Agricultural Practice(優良農業の実施)」の略で、食品安全や法令や社会規範を順守するために、日々の農場管理の中で実施すべき作業内容を定めたものです。農家さん達は日々の作業の中で「農薬の使用履歴は記載したか?」「清潔なコンテナで出荷したか?」など様々な項目についてチェックをしながら仕事を行っています。八千代組合さんでは、認証団体からの厳しい監査を毎年受け、正式な認証を受けた野菜を生産しています。
「当初は大変でしたが、農薬の管理などについてメンバーの意識が変わり、今では導入して良かったと感じています」と増山さんは言います。
収穫されたレタス

収穫されたレタス

JGAP認証の証明書が飾られています。

JGAP認証の証明書が飾られています。

今年のレタスは?

畑に出て、レタスの状況を確認します。
実は今年の春の茨城のレタスは大変な試練に遭っています。3月の高温、4月の低温など様々な要因はありますが、大きな原因は3月の大風です。砂埃が舞い上がり、レタスの中に砂が大量に入り傷んでしまいました。また生育途中の小さいレタスは、風で飛ばされ、飛ばされていなくても、ねじられて根が傷み、数日後に枯れてしまうという状態になってしまいました。本来なら一面にレタスが植わっているはずなのに半分ぐらいしか植わっていない畑が多数見られます。毎年、豊富にレタスがあるシーズンなのに非常に残念な状況ですが、増山さん達はそんな中でも、モスバーガー用にレタスを選びながら出荷してくれています。
砂が入りこんだレタス

砂が入りこんだレタス

欠株が目立つレタス

欠株が目立つレタス

レタスのチャリティー販売

今から2年前の東日本大震災による原発事故、この影響は茨城の南西部にある八千代組合にも及びました。見えない放射能に不安を覚える中、数多くあるモスの協力産地の中で、いち早く放射能検査を行い、科学的なデータを提出してくれたのは八千代組合でした。
「安全なものを提供するために、まずは検査しなくてはと思いましたね」と増山さん。
それでも八千代組合全体の取引量は減ってしましまい、レタスが畑に余ってしまう日々が続きました。そんな増山さんのために、モスが企画したのは社内でのチャリティー販売です。増山さんの美味しい新鮮な旬のレタスは大好評。ところが、チャリティーなので当然、その売上を含む代金をお渡ししようとしたところ、
「産地として皆さんに食べて頂けただけで、十分嬉しいので、代金は結構です」と増山さんから思いがけない言葉。そういう訳にはいかないと受取って頂きましたが、増山さんの人間性を表す素敵なエピソードです。
チャリティー販売時のレタスを飾ってくれています

チャリティー販売時のレタスを飾ってくれています

看板の前でモスの担当者と

看板の前でモスの担当者と

増山さん(右)と管理担当の赤松さん(左)

増山さん(右)と管理担当の赤松さん(左)

最後に一言

最後にお客さまにむけて一言頂きました。
「本当に美味しい野菜を供給したいと思っていますので、モスバーガーに是非来て食べてください」
様々な取り組みを通じて、安心安全な美味しい野菜を生産している八千代組合のレタスやキャベツは、春と秋にモスバーガーに出荷されています。是非その味を確かめてみて下さい!
今後も美味しいレタスを作って行きます!

今後も美味しいレタスを作って行きます!

Text by Yagi