茨城県八千代町 四季菜くらぶ(トマト) トマト代表生産者 田辺 謙次さん

茨城県八千代町 四季菜くらぶ(トマト) トマト代表生産者 田辺 謙次さん

茨城県八千代町は関東平野のほぼ中央、茨城県の南西に位置し、年間のうち8カ月間は野菜栽培に適しているという温暖な気候を生かして、四季を通して美味しい野菜がとれるエリアです。また大消費地である首都圏に位置していることから、首都圏の食糧供給基地としての役割を担う場所として注目されています。今月の産地だよりは、この八千代町にあるモスの協力産地「四季菜くらぶ」を紹介します。

設立当初よりのお付き合い

四季菜くらぶは平成15年7月に「高い農業生産技術を共有し、各農家の経営を守る公平・平等な組織を作ろう」という志のもと設立された農業組合法人です。モスバーガーとは設立年の7月から取組みを始め、現在は9年目、春秋のトマト、レタス、キャベツを関東甲信越の店舗に出荷しています。当然、上記3品だけでなく、その高い生産技術を生かして、ほうれん草やにんじん、ブロッコリーなど様々な野菜を栽培しています。

四季菜くらぶ到着しました

四季菜くらぶ到着しました

四季菜くらぶの集荷場

四季菜くらぶの集荷場

四季菜くらぶのコンセプト

四季菜くらぶのコンセプトは「安心・安全」です。
まずは「安心」の為に、生産者さんは必ず出荷時にどの畑で取れたものかを記録し、生産物には必ず名前を記載するトレーサビリティ体制をとること。そして「安全」の為に、農薬の適正使用はもちろん、ただ減らすのではなく、防虫ネットの使用や太陽熱消毒など、農業技術の向上による減農薬栽培を行うこと。以上の2つをモットーに日々栽培に取り組んでいます。
そして今後はこの2つのコンセプトに「食味」を付け加えることを目標にしているそうです。土づくりや品種、投入資材、輪作などを行い短期間ですぐに成果は表れにくいですが、毎シーズン、様々な取り組みを行い、「食味」の面でも高い評価をもらえる産地を目指しています。

トマトの箱には必ず生産者名が

トマトの箱には必ず生産者名が

四季菜くらぶのロゴ

四季菜くらぶのロゴ

台風15号の翌日に・・・

今回モスのスタッフが産地を訪れたのは、9月22日。台風15号が浜松に非常に強い勢力で上陸し、首都圏を直撃した日の翌日で、秋の葉物の主力産地となる茨城も台風の進路にあたり、その被害が心配されていた時でした。
現地に入り、モスのレタス生産者でもある四季菜くらぶ代表の青木東洋さんにその状況を確認すると、強い雨と風に打たれ、葉に傷がつき、浸水してしまった畑もあり、被害はかなり大きいとのことでした。
「まあ見てください」と案内された畑は、まだ定植したばかりの若いサニーレタスの畑、その状況は散々なものでした。水がたまったままの畑、風にあおられ剥がれてしまったマルチ、ちぎれてしまった葉っぱ・・・。
「ちぎれてしまった葉はあきらめて、他の葉を成長させて、出荷できる商品にするしかないんだけど・・・」と青木さんは言いますが、葉は作物の栄養を作る場所、今後正常に育つかどうかは疑問です。秋の産地には台風の危険が少なからずありますが、改めて自然の脅威を思い知りました。

水につかった畑

水につかった畑

ちぎれてしまったサニーレタス

ちぎれてしまったサニーレタス

トマトの被害は?

今回の産地訪問の目的はトマトです。青木さんの畑をあとにして田辺さんのハウスに向かいます。早速、台風の影響をお伺いします。
静岡や千葉の海岸沿いでは、ハウスが潰れてしまう被害を聞いていましたが、「何か物が飛んできて、ビニールが少し破けたけど、被害はそれぐらい、パイプが曲がったり、ハウスが潰れたりはしてないよ」と田辺さん。よかった・・ひとまず安心です。

ハウス前の倒れた田んぼの稲

ハウス前の倒れた田んぼの稲

トマトハウス内の様子

トマトハウス内の様子

収穫を待つトマト

収穫を待つトマト

箱詰めされた田辺さんのトマト

箱詰めされた田辺さんのトマト

今年のトマトは?

田辺さんが作るトマトは「桃太郎グランデ」という品種です。昨年猛暑に悩まされ、小玉になってしまった反省から、今年は1つの段に生らせる玉数をコントロールする摘果をしっかりと行い大玉での収穫を目指しているそうです。今の所は上々ですが、最近はトマトの皮がぱっくり割れてしまう「裂果」という状況に頭を悩ましているそうです。急激な冷え込みが原因と田辺さんは言いますが、今年は気温の乱高下が激しく、農家さんが苦心をしながら、一生懸命作物を作ろうとしている姿勢が、どこの産地でも強く伝わってきます。

トマトの状態を見る田辺さん

トマトの状態を見る田辺さん

割れてしまったトマト

割れてしまったトマト

土づくりにこだわり太陽熱消毒

田辺さんのトマト栽培のこだわりの1つに「太陽熱消毒」による土づくりがあります。これは夏場に畑にマルチを一面に張り、太陽の光で土壌の温度を上げ発酵させることにより、土壌に潜む、病害菌や害虫をやっつけるというやり方です。以前は農薬を畑に巻き、土壌を消毒していましたが、このやり方だと土壌にいる良い微生物までもまとめてやっつけてしまう上、農家さん自身の体にも負担がかかります。太陽熱消毒だと、そこまで温度が上がらないため、病害虫や悪い菌は死滅しても、良質な微生物はある程度生き残り、最終的に良い土壌が出来上がるそうです。
「土が良くないと旨いものは作れないし、旨いものを作らないと売れないんだよ」という田辺さんの言葉から、安心・安全にプラスされた美味しさへのこだわりが伝わります。

営業の高安さん(右)と田辺さん(左)

営業の高安さん(右)と田辺さん(左)

高安さんとトマトの樹の状態を確認します

高安さんとトマトの樹の状態を確認します

焼きトマトでどうぞ!

四季菜くらぶのトマトは11月下旬まで関東の店舗に出荷中です。10月4日(火)より発売される「とびきりハンバーグサンド 焼きトマト&チーズデミ」にも使用されます。是非、焼きトマトになった田辺さんのトマトの味をご賞味ください!!

焼きトマト食べに来てください!

焼きトマト食べに来てください!

Text by Yagi